高山寺

高山寺

日本の世界遺産に登録されている京都のお寺である高山寺に行けば。
「あっ、あそこを見て。明恵上人像の絵にそっくりだよ。明恵さんが木の上で瞑想していた様子が目に浮かぶね」。裏参道の最後の階段を上ると飛び込んでくる風景。
うっそうと茂る大木は、まさに国宝に描かれている上人の瞑想の図を思わせる。

日本の世界遺産の高山寺へは洛中から車で約40分。清滝川に沿って高尾、椎尾、栂尾、合わせて「三尾」と呼ばれる紅葉のメッカの最奥、栂尾に高山寺はある。自然を愛し、命あるものすべてをいとおしみ、あくまで無欲に生きながら、修行に関しては厳しく自身を律した明恵。後鳥羽上皇から下賜されたこの地で、彼は文字通り修行三昧の日々を送った。

階段を上った右手には、明恵の住居跡とされる石水院、反対側には日本最古の茶園がある。建仁寺の栄西にもらった茶の種を清滝川の対岸に撒き、明恵は大事に育てた。
「高山寺に来るときには、ぜひ予習してくるべきだね。明恵上人がどんな人かを。それがわかっていると、感動は倍増する」。

そして、もう一つ。忘れてならないのが国宝『鳥獣人物戯画』。誕生の地で見る感慨はひとしおのはず。

石水院は、鎌倉時代の貴重な建造物として国宝に指定され、世界遺産登録の大きな理由にもなった。善財童子が置かれた部屋の床板は、創建時からある屋久杉の板。築年数分の柔らか昧を帯びている。天井板は1000年前の高野槙。さらに、壁には明恵上人直筆の遺訓。「いつ重要文化財に指定さ
れてもおかしくない」というお寺の執事の言葉に、山下先生は満面の笑みを浮かべた。

そして、噂の明恵上人像を前に正座したかと思うと、「さあ、この絵にリスがいます。
どこでしょう。鳥もいます」。次に高山寺を訪れるとき、ぜひ探してみてほしい。

それにしても、石水院はやさしい。濡れ縁に座り、迫る縁を眺め、時折、鳥獣戯画にライトを当てて遊んでみたり。そうするうちに、ここが寺だということを忘れ、明恵上人の世界に溶け込んでいることに気付
かされる。国宝建造物でこんなに自由気ままにくつろげる場所は、ほかにない。

参考になるサイト
高山寺

高山寺<こうざんじ>
奈良時代末期の創建と伝わり、平安時代から神護寺の別院に。1206(建永元)年、後鳥羽上皇にこの地を与えられた明恵上人が、中興の祖として再建を果たした。高山寺の名は、後鳥羽上皇から「日出先照高山之寺」という勅願を賜ったことによる。
中世以降、たびかさなる戦火や火災で焼失し、多くの伽藍を失った。
唯一、創建当初の姿で残るのが石水院。大半は、江戸時代初期に再建された。明恵上人を慕い、川端
康成や南方熊楠、白洲正子など多くの文人にも愛されている。


2008年12月11日|

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