仁和寺
威圧的な二王門に、真言宗御室派総本山という格式。なんだかいかめしく感じる仁和寺だが、この寺には、とても寺院とは思えない典雅な空間がある。それが境内南西の「御殿」と呼ばれる一角だ。
確かに寝殿、白書院、黒書院などの建物が渡り廊下で結ばれた空間は、宮中を思わせる。中心となる寝殿は、大正時代に再建されてはいるか、元は京都御所から賜った由緒ある建物。かつてはここに、出家した天皇がおわしたのだ。気高い雰囲気に満ちているのも当然。「京都御所は建物の中には入れないけど、ここは見学が可能。御所の疑似体験ができる場所だよね」
そして仁和寺には、多くの人が強く鑑賞をすすめる国宝がある。それが「世界最高の仏画!」と断言する『孔雀明王像』。霊宝館で、毎年10月1~15日に公開されるので要チェック。そしてもうIつが、高さ10・7mの『薬師如来坐像』。思わず「可愛い」と言いたくなるほど小さな仏像だ。こちらは秘仏のためで非公開だが、憲明殿に同じ形をした御前立が安置されている。
端整な伽藍配置の仁和寺。二王門をくぐると広い参道が一直線に北へ伸び、朱塗りの中門越しに、本堂である国宝の金堂が見える。
仁和寺が世界遺産に登録された理由のひとつが、この金堂だ。京都御所の紫宸殿を江戸時代初期に移したもので、現存する最古の紫宸殿の遺構。桃山時代の宮殿建築を伝える貴重な建物だ。それでい
て、屋根は紫宸殿当時の檜皮から、寺院風の本瓦にリニューアル。宮殿建築と仏教建築の融合が一風変わった魅力を醸し、建築物としての価値をより一層高めている。
どこまでも優雅な境内は、できれば桜の季節に訪れたい。仁和寺名物の御室桜が盛りを迎えるのは、4月中旬から後半にかけて。
ちょうど春の名宝展が開催される時期でもあるので、桜、お宝、プチ御所がいっぺんに楽しめる。
参考になるサイト
仁和寺
仁和寺<にんなじ>
真言宗御室派の総本山。 886 (仁和2)年、光孝天皇が造営に着手するも半ばで崩御し、子の宇多天皇が引き継いで2年後に創建。その後、宇多天皇は退位して仁和寺で出家し、「御室」と呼ばれる僧房を造営。以来、仁和寺は皇子や貴族が住職を務めるわが国初の門跡寺院となった。
境内の建物は応仁の乱で焼失後、寛永年間(1624~1644)に、徳川家光の寄進によって再建された。
現在、一帯は「御室」と呼ばれ、遅咲きの御室桜の名所としても知られる。
2008年12月 8日|
カテゴリー:古都京都の文化財

