唐招提寺

唐招提寺

日本の世界遺産に登録されている唐招提寺の奈良時代の金堂としては唯一この国に残る、世界遺産にふさわしい貴重な天平建築だ。2000年に始まった「平成の大修理」も、大詰め。
今まで建物を覆っていた無粋な覆い屋も取り除かれ、8年ぶりにその威容を現した。

井上靖の名作『天平の蔓』は、唐の高僧鑑真と、彼の招聘に命をかけた日本の留学僧たちを描いた大河ドラマ。失明という苦難にあいながら日本を目指し、仏牧者が守るべき戒律を初めて伝えた鑑真の功績は大きい。その鑑真が住んでいたのが唐招提寺であり、作中に「天平の蔓」として登場するのが、金堂屋根に取り付けられた鴎尾だ。
現在、その鵠尾は新宝蔵で展示されている。

金堂の完成に伴い、今まで別の場所で保管されていた本尊の盧舎那仏坐像、千手観音立像、薬師如来立像の三尊も戻ってきた。
金堂の落成を祝う落慶法要は、2009年H月。今から公開が待ち遠しい「古都奈良の文化財」に含まれるほかの寺とは異なり、境内に緑があふれる唐招提寺。ここは寺というより、昔も今も「鑑真さんのお住まい」である。

中国が誇る名僧でありながら、晩年を異国の地で送ると決めた鑑真。そんな鑑真は多くの弟子に慕われ、厳しい戒律の道場にもかかわらず、この寺には常に温かい空気が流れていた。開山堂を囲む土塀を眺めて、山ド先生が目を絹める。「きれいではないけれど、人々とお坊さんたちが一緒に作った感じがするよね」

そんな感想を抱いたのも、この寺に流れる空気を感じ取ったからにちがいない。

2008年12月22日|

カテゴリー:日本の世界遺産【奈良】

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